いつものように死んだ魚の眼をしながら
どう頑張っても終わるはずもない三途の川の石積みのように仕事をしていると
上司から声をかけられる
「どう、仕事順調?」
『はあ… どうかされたんですか?』
いつになく、ニコニコしている上司の態度に不信を抱きつつ
上司からの次の言葉を待つ
「あのさ、本社から名指しでおまえの呼び出しがあってさ」
黒糖の肩に置いた上司の手に力が入る
ひょっとして、先日のことで社長がまだお怒りなのだろうか?
『えっと… どういった件でしょうか…』
「え?それは俺の口からは言えないなぁ~、いいから本社に行って来い」
パンパンと軽く背中を叩いて席に戻る上司
最初はやばい話かと思ったが態度を見る限り、悪い話ではなさそうだ
そんなわけで本社までホイホイといってしまうのだった
よく本社に来るようになったな…
そんなことを思いながら、本社の扉を開き事務の人に呼びだされた旨を告げる
「ああ、はいはい」と社長室に向かうように言われる
『失礼します』
「おお、黒糖くん!よく来たねぇ…」
にこやかな社長
【待っていましたよ、黒糖くん】
こちらもにこやかな専務
【じゃあ、行きましょうか!】
『あ、すみません 本日のご用件は…』
【上司くんから聞いてないの?伝えたはずなんだけど…】
「まあ、いいじゃないか」
【これから買い物に行くので黒糖くんに付き合ってもらいたいの】
…
……
………
買い物?
『か、買い物ですか?』
【今度の会社のパーティのときの買い出しよ】
『は、はい…』
業務をほっぽり出して専務と会社のパーティ用の買い出し
その荷物持ちとして呼び出されたらしい
こうして一日中、専務といろんな店をまわり
大量の荷物を抱えて、本社まで移動するという重要な仕事をこなし
いつもでは考えられない20時頃に本社にて解放してもらえることとなった
楽といえば楽な一日だったが翌日には今日の分の仕事を含め
仕事が大量に待っていると思うと憂鬱だった
しかし、どうして買い出しのために呼び出されたのだろう
よくわからないまま、にこやかな社長と専務をあとに帰宅することになった
企業戦士のたたかいの日々はつづく…
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